2017/06/25 長野県南部の地震


名古屋大によって決められた震源分布 (拡大)

2017年6月25日午前7時2分ごろ,御嶽山の東麓(長野県木曽町から王滝村にまたがる地域)で,マグニチュード5.6の地震が発生しました.

名古屋大学では,御嶽山周辺域に稠密な定常及び臨時地震観測網を展開しており,これらのデータに加え,長野県,岐阜県,気象庁,防災科研,京都大学,東京大学などの諸機関の地震データを用いて,長野県南部地震と一連の地震活動の震源分布やメカニズム解(断層運動の様式)を推定しました.(観測点分布はこちら)

本震の震源は,緯度35.8668度,経度137.5886度,深さ3.4kmと推定されました.活発な余震活動は,本震震源の周りに約3kmの広がりを持って分布しています.本震のP波初動の押し引き分布を調べたところ,この地震は西北西−東南東方向に圧縮軸を持つ逆断層型の地震であることがわかりました.余震の震源分布から,東傾斜の断層が動いたものと推定されます.

6月25日中に,マグニチュード3以上の余震が12個発生しました.これらの地震のメカニズム解を調べると,本震と同じタイプの逆断層運動と,西北西−東南東方向に圧縮軸を持つ横ずれ断層運動が起こっていることがわかりました.後者の横ずれ断層運動は,1984年の長野県西部地震(マグニチュード6.8)とよく似ています. また,本震発生の約3時間前(6月25日4時19分ごろ)に,本震震源のほぼ直下で,本震と似たメカニズム解を持つ逆断層の前震(マグニチュード 1)が発生していたこともわかりました. 地震の発生から1週間が経過しましたが,現在でも余震活動が続いています.

求められたメカニズム解(拡大)